注意欠如・多動症(attention deficit hyperac-tivity disorder :ADHD)
→幼少期から生涯を通じて多動性・衝動性・不注意の特徴が持続的に認められる疾患の総称
脳の成熟や社会的能力の向上に伴い、特徴による行動上による問題が次第に修復され、小児期ではADHDと診断されていた者が、成人期ではADHDの基準を満たさなくなる場合もあります。
また、幼少期にはADHDと気づかれることなく、大人になってADHDと診断される場合もあります。
〇幼少期の主な特徴
・活発に動く、好奇心旺盛
・じっとしていることが苦手
・遊具やゲームの順番を待てない
・他児の所有物を取り上げる
・他児を突飛ばしたり、叩いたりする
・人懐っこい
発達に伴って改善していくことも多い 別の発達障害の一側面であったことが明らかになる場合もある 幼少期でのADHD診断は結論を急がずに、経過を観察が必要 |
〇小学生年代の主な特徴
・忘れ物が多い
・先生の話を聞いてノートをとることが出来ない
・授業中すぐに他のことに関心を移す
・宿題をしない
・約束を忘れてしまう
・授業中に離籍し、立ち歩く
・許可なしに離れた友人のところへ行って話しかける
・いつも大声で話し、多弁
・いきなり物を投げる
・道路に飛び出す
交通事故に遭ったりする危険性が高い 周りからの注意や叱責などの環境も影響して、激しい反抗や他者への攻撃行動をとる 分離不安や抑うつなどの症状が出る |
〇思春期の主な特徴
・信号を見忘れる
・テストでのケアレスミスが多い
・大切なものを失くしやすい
・大切な約束を忘れてしまう
・他者との会話において聞いていないで上の空にみえる
・長期の休みの宿題を後回しにする
・じっとすることを求められる場を避ける
・相手の発言を最後まで聞けず、途中で発言してしまう
・相手の一言でいきなり感情的となる
・不安や気分の落ち込みが生じやすい
ネット依存やゲーム依存のリスクが高い 不登校・ひきこもりの回復が長引く可能性が高まる |
〇青年期以降の主な特徴
・不注意でケアレスミスを犯しやすい自分に違和感を抱え、自尊心が低くなる
・時間管理が下手
・そわそわして落ち着かない
・会議の場を避ける
・トイレを理由に必要以上に席を立ったりする
・失敗を恐れる不安が強まる
不安症や抑うつ障害、アルコールや薬物の乱用などの二次障害を生じやすくなる ネット依存やギャンブル依存のリスクが高まる |
当てはまることがあり、お困りごとを感じていらっしゃいましたら、お気軽に当院までご連絡ください。
<引用文献・参考文献〉 村上佳津美(2017)注意欠如・多動症(ADHD)特性の理解 心身医学